遂にでた障害児の就学・学習をめぐる新マニュアル

以下は、本書「はじめに」の全文です。

はじめに

 

 お待たせしました。インクルーシブ教育の流れに棹さすため、いま憲法9条が危ないといわれるのを危倶しながら、編集内容も新たに「障害児が地域校に学ぶとき一新マニュアル 障害児の学校選択」(「新マニュアル」と略す)の刊行にこぎつけました。学校教育法施行令の改訂点など法律的な根拠の正確さ、就学先をきちっと決定してから学校・教育委員会へどう話をもっていったらいいか、そして話し合いをどう進めていけばいいかについてなどのことも、とぎすまされた考えをあつめて明確に書かれたこの一冊、これこそ待ち望まれていたのではないでしょうか。

 障害ある子どもがなぜ、地域の学校ではなく、遠くはなれた特別の学級や学校に通わねばならないのでしょうか。まだまだたちふさがるものの圧に踏み入らねばなりません。子どもに日々接する教師が、「私は障害児の担任じゃない」という顔をしていた例も、まだ見受けられます。これにたいし、「担任にちょっとした想像力を持って、障害児への合理的な配慮を自覚して接してもらえばよい」と、親の側が言い切ります。そうなのです。その意味での意見交換・交流こそ、この本の目指すところといえましょう。そして、この文字通りインクルーシブ教育の典型を打ち出している教師も現れているという心づよい例も、本書は紹介しているのです。

 他の子どもとちがっていたって、追い出そうとすることなく包み込んでこそ輝きを増す、そんなインクルージョンづくりがのぞまれ、本書を編みました。社会・集団のなかで育ってゆく子どもたちは最初から宝石ではなく、これからどんなに輝くかわからない原石なのです。そんな子どもを育てる母親そして父親の立場から、解決する課題のカギがふんだんに書かれている「新マニュアル」の出番といったところです。

 「入学するだけならかんたんになった」、「入ってからあとが問題」などの声がきかれるこの頃、就学してからの学習保障ということについても、「親(本来的には本人)の学校選択権」の考え方が生かされねばならないでしょう。そしてインクルーシブ教育の時代の流れにこたえようとしたのです。「みんなといっしょの学習が無理な子がなんで同じ教室にいるの?」「授業がやりづらい」「障害児が行くべき学校は別にあるんじゃないの?」なんていう権限はだれにもありはしないのです。学ぶということを広く受けとめて、普通学級のなかに、あの子その子この子の居場所をつくることがもっとも大切なことではないでしょうか。

 障害児が子ども集団のなかで豊かに育ちあうということは、親(本来的には本人) の学校選択権の考え方がいきいきとしてはたらき、障害児が学級集団に溶け込み前向きに当たり前に生きるということに他なりません。

 さらに、義務教育修了後の高校進学問題をも視野に入れ、「権利としての高校就学」を礎として、障害児が地域コミュニティの一員として当たり前に生きる意味をもかみしめながら編集したところにも、この「新マニュアル」は、父母、教師の皆さんにひろくもとめられるものになっていると考えられます。この一冊をお手元に置いて、そんなこんなの虎の巻として、そのあたりを読み取っていただけることを切に希望してやみません。

 

 

2012729日、さよなら原発・国会包囲アクション20万人集会に参加した日の晩に)

                                      野村みどり

 

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